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「同行援護ってどんな仕事?」「同行援護の資格はどうやって取るの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。
同行援護は、視覚の障がいがある方の外出において『視覚的情報の支援』『移動の援護』『排せつ・食事などの援助』を提供する障害者総合支援法に基づくサービスです。
同行援護に従事するためには、同行援護従業者養成研修を修了する必要があります。
今回は、『同行援護のサービス内容』『資格要件』『移動支援との違い』『同行援護従業者養成研修の内容』について解説します。
この記事を読めば、同行援護の内容が分かり、資格取得の足がかりになるでしょう。
同行援護とは
同行援護とは、視覚障がいにより移動が著しく困難な方の外出時に支援者が同行し援助する障害者総合支援法に基づく障がい福祉サービスです。
外出時の移動の際に付き添い、必要な情報提供など適切かつ効果的に援助・支援します。
同行援護は、視覚に障がいを持った方々が安全に社会参加するために必要不可欠なサービスです。
同行援護のサービス内容
同行援護のサービス内容は次の3つです。
- ・移動時や外出先での視覚的情報の支援
- ・外出に伴う移動の援護
- ・外出先での排せつや食事などの必要な援助
また、利用者が必要とするコミュニケーションツールの準備なども、サービス内容に含まれます。
それぞれ解説します。
視覚的情報の支援
視覚的情報の支援は、同行援護の中でも主となるサービスで、専門性を必要とします。
利用者が外出先の決定や変更などの選択に必要な視覚的情報を、正確かつ客観的に伝えることが大切です。
同行者は利用者の意思決定のために適切な判断材料を提供し、場合によっては代筆や代読することもあります。
移動の援護
移動の援護は、利用者の外出に伴う移動が安全で快適になるよう支援するサービスです。
視覚障がいを持つ利用者にとって、外出は生命の危険を伴うため、周囲の状況に常に気を配る必要があります。
同行者は、移動中の利用者の周囲に気を配り、危険な状況を避けるために必要な情報を伝え、安全に誘導しながら援護します。
排せつ・食事など外出時に必要となる援助
排せつ・食事など外出時に必要となる援助も同行援護の1つです。
ただし、身体介護はサービスの種類や区分によって決められているため、次の基準を満たす必要があります。
身体介護を伴う同行援護を利用したい場合は、下記に該当するかの確認が必要です。
- ・同行援護アセスメント票(案)の項目『1~3』がいずれか1点以上かつ『4』が1点以上
- ・障がい程度区分2以上
- ・障がい程度区分の認定調査項目のうち歩行・移乗・移動・排尿・排便のいずれか1つが『できる』以外と認定
参考:厚生労働省『同行援護について』
同行援護として従事するには?
同行援護として従事するには「同行援護従業者」または「サービス提供責任者」の従事者要件を満たすことが必要です。
同行援護従業者は、利用者にサービスを直接提供することが主な仕事です。
一方、サービス提供責任者は、特定相談支援事業者・医療機関など他職種との調整が主な仕事になります。
同行援護従業者とサービス提供責任者の資格要件は次のとおりです。
同行援護従業者
同行援護従業者の資格要件は、次のいずれかの条件に該当する者と定められています。
- ・同行援護従業者養成研修のうち、一般課程を修了した者
- ・居宅介護従業者の資格要件を満たし、視覚障がい者等の福祉事業に1年以上(かつ180日以上)従事した者
- ・国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科を履修した者または準ずる者
視覚障がいの方を直接支援するには、同行援護従業者の資格要件を満たす必要があります。
サービス提供責任者
同行援護のサービス提供責任者として従事するためには、次の資格要件を全て満たす必要があります。
- ・居宅介護サービス提供責任者の資格要件を満たす者
- ・同行援護従業者養成研修の一般および応用課程を修了した者
なお、国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の履修者は単独で資格要件を満たします。
移動支援と同行援護の違い
『同行援護』とよく似た言葉に『移動支援』があり、両者の違いがわかりづらいと感じる方も多いようです。
移動支援と同行援護の違いは主に次の3つです。
- ・サービスの管轄
- ・サービスを利用できる対象者
- ・サービスの範囲
それぞれ解説していきます。
サービスの管轄
それぞれサービスの管轄が異なります。
移動支援は地域生活支援事業に該当し、各自治体によりサービス内容に違いがあります。
一方、同行援護は国が主となって提供され、サービス内容は全国一律です。
サービスを利用できる対象者
サービスを利用できる対象者も、移動支援と同行援護には違いがあります。
移動支援は、障がいにより移動の支援が必要であると市町村が認めた方が対象となり、視覚障がいに限定されていません。
一方、同行援護では視覚障がいにより外出が困難な方が対象です。
サービスの範囲
移動支援のサービスは、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動等の社会参加のための外出に伴う移動の際に提供されますが、サービスの詳細は自治体により異なります。
対して、同行援護では『視覚的情報の支援』『移動の援護』『排せつ・食事など外出時に必要な援助』の3つが明確に示されています。
ただし、同行援護は、通勤や通学といった経済活動や通年・長期にわたる外出では利用できません。
参考:厚生労働省『障害者等の移動の支援について』
同行援護従業者養成研修の内容
同行援護従業者養成研修の内容は『一般課程』と『応用課程』に分かれています。
同行援護従業者は一般課程を修了すれば従事できますが、サービス提供責任者は一般課程と応用課程の修了が必須です。
一般課程と応用課程について、それぞれ解説します。
一般課程
受講対象に制限はなく、誰でも受けられます。
研修内容は一般的に次のとおりです。
- ・視覚障がい者(児)福祉制度とサービス
- ・同行援護の制度と従業者の業務
- ・障がい、疾病の理解
- ・障がい者(児)の心理
- ・情報支援と情報提供
- ・代筆、代読の基礎知識
- ・同行援護の基礎知識
- ・基本技能
- ・応用技能
試験はなく全ての研修を履修すれば修了認定されます。
ただし、スクールや地域により科目が異なる可能性があります。
応用課程
応用課程は、同行援護従業者養成研修の一般課程修了者が受講できます。
一般的な研修内容は次のとおりです。
- ・障がい、疾病の理解(2)
- ・障がい者(児)の心理(2)
- ・場面別基本技能
- ・場面別応用技能
- ・交通機関の利用
一般課程同様、全ての研修を履修すれば修了認定されます。
科目はスクールや地域によって異なる可能性があります。
時間数・料金
研修にかかる時間数は、一般課程で20時間(3日間)、応用課程で12時間(2日間)となっています。
料金は、一般課程で22,000円〜、応用課程で20,000円〜が相場です。
どちらもスクールや地域によって異なりますので、受講するスクールの情報を確認しておきましょう。
参考:厚生労働省『同行援護について』
視覚障がいを持った方の外出をサポートしたいなら同行援護の資格を取得しましょう!
では今回のまとめです。
同行援護のサービス内容は、大きく次の3つに分けられます。
- ・視覚的情報の支援
- ・移動の援護
- ・排せつ・食事などの援助
同行援護の資格要件は、同行援護従業者とサービス提供責任者で、それぞれ異なります。
同行援護従業者として働きたいなら一般課程のみ修了すればよいですが、サービス提供責任者を目指すなら一般課程と応用課程の修了が必須です。
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