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「強度行動障害支援者養成研修を受けるメリットは?」
「どんな場面で役に立つの?」
このような疑問を持つ方も少なくないのではないでしょうか。
強度行動障害がある方の支援には専門的な知識が欠かせません。強度行動障害支援者養成研修で得られる知識は、障害支援サービスを提供しているさまざまな職場で役立つでしょう。
本記事では、強度行動障害支援者養成研修を受ける3つのメリットと、仕事に役立つ理由を中心に解説します。
研修を受けるメリットを知り、知識を深める選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
強度行動障害支援者養成研修を受ける3つのメリット
強度行動障害支援者養成研修を受けるメリットは次の3つです。
- ・強度行動障害の支援手順を学べる
- ・キャリアアップに役立てられる
- ・転職が有利になる可能性も
それぞれの理由を解説します。
強度行動障害の支援手順を学べる
1つめのメリットは、強度行動障害への理解が深まることで仕事に役立つ点です。
強度高度障害は、周りの人のくらしに影響を及ぼす行動や危険な行動がみられるため、専門的な支援が必要です。
具体的には、以下のような行動があります。
- ・自分の体や他人を叩く
- ・食べられないものを口にする
- ・危険につながる飛び出し
- ・物を壊す
- ・長時間大泣きが続く
強度行動障害支援者養成研修では、上記のような行動につながる理由や障害の特性などを学びます。また、支援方法も実践的に習得できるため、実際の仕事でも役立てられるでしょう。
キャリアアップに役立てられる
2つめのメリットは、強度行動障害支援者養成研修を修了すれば仕事の幅が広がる点です。
強度障害がある方は、ほかの利用者やスタッフに対する他害行為が原因となり、障害福祉サービス等事業所の利用を断られるケースも少なくありません。そのため、適切に支援できる強度行動障害支援者養成研修修了者は、さまざまな事業所で求められているのです。
転職が有利になる可能性も
3つめのメリットは、転職に有利に働く可能性がある点です。
障害福祉サービスのなかには、強度行動障害支援者養成研修修了者または行動援護従業者養成研修修了者の配置が加算要件に含まれる事業所もあります。対象となるのは「重度障害者支援加算」であり、重度障がい者に対して研修修了者による手厚い支援を行った場合に算定できる加算です。
加算要件に強度行動障害支援者養成研修修了者が含まれているのは、次のような事業所です。
- ・障がい者支援施設
- ・グループホーム
- ・児童発達支援・放課後等デイサービスなど
上記の事業所は雇用側も採用するメリットがあるため、転職しやすい可能性があるでしょう。
そもそも強度行動障害支援者養成研修とは?
強度行動障害支援者養成研修とは、強度行動障害がある方の支援に必要な知識が身に付けられる研修です。
介護分野では学ぶ機会があまりない自閉症などの内容に特化しており、演習などを通じて体験的に学べます。
基礎研修と実践研修の2種類あり、それぞれ受講要件や学習内容が異なります。
基礎研修
基礎研修を受講するのに必要な資格はありません。しかし、原則として障がい福祉サービス事業所等において知的障害、精神障害がある方を支援する業務に従事している方や従事予定の方が対象です。
基本的な障害の特性を理解し、支援手順書に沿って適切に支援できることを目標としています。
具体的なカリキュラムは次のとおりです。
- ・強度行動障害がある者の基本的理解
- ・強度行動障害に関する制度及び支援技術の基本的な知識
- ・基本的な情報収集と記録等の共有
- ・行動障害がある者のコミュニケーションの理解
- ・行動障害の背景にある特性の理解
受講時間は合計12時間であり、2日間で修了できます。
実践研修
実践研修を受講するには、基礎研修を修了している必要があります。加えて、障がい福祉サービス事業所等において、知的障害、精神障害がある方を支援する業務に従事している方や従事予定の方が対象です。
障害の特性に対する理解をさらに深め、適切な支援方法を考えて支援手順書を作成できるようになることを目標としています。
具体的なカリキュラムは次のとおりです。
- ・強度行動障害のある者へのチーム支援
- ・強度行動障害と生活の組み立て
- ・障害特性の理解とアセスメント
- ・環境調整による強度行動障害の支援
- ・記録に基づく支援の評価
- ・危機対応と虐待防止
受講時間は、基礎研修と同じく合計12時間であり、2日間で修了できます。
強度行動障害支援者養成研修の履歴書への書き方は?
履歴書への記載例は以下のとおりです。
年 | 月 | 免許・資格 |
20××年 | ××月 | 強度行動障害支援者養成研修 基礎研修 修了 |
20××年 | ××月 | 強度行動障害支援者養成研修 実践研修 修了 |
転職に有利に働く可能性もあるため、履歴書には必ず記載しましょう。
強度行動障害には適切な対応が有効
強度行動障害がある方は全国でおよそ8,000人にのぼると推計されています。自傷行為や他害行為などの危険行動があることから、受け入れ後の不適切な支援によって虐待につながる可能性や、受け入れ自体が困難なケースも少なくありません。
令和2年度に厚生労働省が実施した「障害者虐待対応状況調査」によると、虐待を受けた障がい者は890人であることがわかりました。
被虐待者の障害種別の割合は、次のとおりです。
身体障害 | 知的障害 | 精神障害 | 発達障害 | 難病等 |
18.2% | 71.6% | 19.4% | 5.7% | 0.8% |
精神障害や知的障害がある方に対する虐待が比較的多い結果となりました。また、行動障害がある方に対する虐待件数は全体の30.6%でした。
虐待の発生要因として、次のようなものがあります。
- ・教育・知識・介護技術などの問題
- ・職員のストレスや感情コントロールに関する問題
- ・倫理観や理念の欠如
- ・人員不足や人員配置の問題
- ・人員不足に関連した多忙さなど
以上の結果から、行動障害をはじめとした障害がある方の支援には、障害の特性に対する理解が欠かせないといえます。
また、令和3年度の障害福祉サービス等報酬改定でも、グループホーム(共同生活援助)などにおいて強度行動障害のある方の受け入れに対し、インセンティブが働くような報酬体制に見直されました。
強度行動障害がある方に対する適切な支援によって、危険行動が減少するという報告もあります。このような背景から、強度行動障害に対する専門的な知識を持った支援者が求められているといえるでしょう。
参考:国立障害者リハビリテーションセンター|強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)資料
強度行動障害支援者養成研修を受けるメリットは幅広い
強度行動障害がある方への対応は、知識がなければ困難に感じてしまう場面も少なくありません。しかし、適切な支援によって危険行為が減るなどの効果も確認されています。
強度行動障害支援者養成研修で学ぶ専門的な知識や実践的な技能は、仕事の現場でも大いに役立つでしょう。
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