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介護職員初任者研修では講義と演習を合わせたカリキュラムを修了する必要があります。そのため、通信講座だけでは資格を取ることはできません。しかし、通信と通学の併用により、資格取得日数を早めることは可能です。スクール選びのコツと合わせて解説します。
介護職員初任者研修(以下、初任者研修)は、講義と演習、双方の履修が必要なため、通信講座だけで取得することはできません。しかし、通信と通学を併用すれば、全て通学するよりも資格取得日数を早めることが可能です。
自分に合った方法で効率よく資格取得を目指すためにも、講義・演習を合わせた総学習時間や、通信学習で取得できる上限時間などを押さえておきましょう。
本記事では、そもそも初任者研修とは何か、取得に必要なカリキュラムと通信講座の上限時間、通信講座の内容、通信スクール選びのコツなどを解説します。
そもそも初任者研修って?
初任者研修とは、在宅・施設・訪問介護を問わず、初めて介護の仕事をする人が一通り基礎知識を学べるように作られた研修制度のことです。国家資格ではないものの、厚生労働省の認定を受けた公的資格にあたります。
研修では介護の知識と技術だけでなく、それらを実践するための考え方のプロセスを含め身に着けることが可能です。初任者研修は介護の入門資格に位置づけられています。初任者研修修了後は、「介護福祉士実務者研修」、「介護福祉士」と上位資格を目指するのが一般的な流れです。
初任者研修は以前まで「ホームヘルパー2級」という名称でしたが、2013年4月1日の介護保険法施行規則の一部改正により「介護職員初任者研修」に名称変更されました。
なお初任者研修の修了は義務ではないため、無資格でも介護職員として働ける施設もあります。しかし、多くの介護施設では初任者研修修了者を歓迎しており、資格手当が支給されるケースも多くあります。そのため、介護業界での就職やスキルアップ、給与アップを希望するなら取得しておきたい資格です。
通信講座だけでは初任者研修は取得できない
初任者研修を修了するためには、講義と演習を合わせたカリキュラムの受講が必要です。通信学習では座学のみの受講となるため、演習部分は通学講座(スクーリング)と併用して資格取得を進めていきます。
通信による学習時間は40.5時間の上限がある
通信講座で学べる部分はカリキュラム中、40.5時間分までとなります。残りは演習にあたるため、通学による取得が必要です。初任者研修で演習が多い理由として、実際の介護の仕事では、入浴や排泄の介助などの技術が必要になるためです。
学習できるカリキュラム項目と上限時間数
初任者研修の学習カリキュラムは、都道府県により若干内容に違いがあります。ここでは、東京都の130時間のカリキュラム項目を参考に、それぞれの時間を表にまとめました。(※)
※出典:東京都居宅介護職員初任者研修事業実施要綱|東京都福祉保健局
項目 | 講義・演習を合わせた総学習時間 | 通信学習で取得できる上限時間 |
---|---|---|
1. 職務の理解 | 6時間 | - |
2. 介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 | 7.5時間 |
3. 介護の基本 | 6時間 | 3時間 |
4. 介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 | 7.5時間 |
5. 介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 | 3時間 |
6. 障害の理解 | 6時間 | 3時間 |
7. 認知症・行動障害の理解 | 6時間 | 3時間 |
8. 老化の理解 | 3時間 | 1.5時間 |
9. こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 | 12時間 |
10. 振り返り | 4時間 | - |
合計 | 130時間 | 40.5時間 |
以上、10のカリキュラムからなり、演習を除く講義部分は通信学習が可能です。資格取得まで、それぞれの項目と総学習時間、演習にかかる時間をふまえてスケジュールを立てるとよいでしょう。
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スクーリングで学ぶ内容は?
スクーリングでは、全て演習を行うのではなく、講義と演習の2つの学習により初任者研修を進めます。
講義では、介護に関する基本から専門的な概念まで網羅かる総合学習です。介護のコミュニケーション技術や高齢者心理、認知症や医学の基礎知識、生活支援技術などを学び、介護の仕事を行う上での理解を深めます。
また、実技は以下の内容を一通り行い、実際の介護現場で役立つ即戦力を目指すものです。
- ・食事介助
- ・口腔ケア
- ・排泄の介助
- ・入浴介助
- ・ベッドメイキング
- ・体位交換
- ・体位交換
- ・衣類の着脱の介助
- ・車椅子を含む移動・歩行の介助
実際に介助を行いながら学習を進めるだけでなく、グループワークなども行なわれます。
初任者研修は最短1カ月で取得可能
初任者研修は通信講座とスクーリング(通学)を併用する、または、全てスクーリング、どちらの方法でも最短1カ月で取得が可能です。
通信講座とスクーリングを併用する方法では、講義部分を自宅で行うため、約15回のスクーリングを受講すれば、初任者研修を取得できます。なお、スクーリングの1回の講義時間は6時間程度のため、1カ月で取得したいなら、週3回以上の通学が必要です。
次に、全てスクーリングで取得する方法です。平日の午前9時から夕方頃まで教室に通えば、1カ月程度で初任者研修を修了できます。カリキュラムは130時間分あるため、1日6時間の講座でも20日以上通学が必要です。
以上のように、1カ月の短期取得を目指す場合、平日の通学が必要なため、まとまった時間が取れるかも確認が必要です。
通信学習の流れ
初任者研修の通信学習では、初めに利用するスクールを選び、申し込みを行います。学習は自分で進める必要があるものの、進捗状況や理解度を確認するため、3~5回ほどレポート課題を提出するのが一般的です。
具体的な通信学習の流れは以下となります。
- ・通信学習の申し込みをする
- ・学習用教材を受け取る
- ・自宅学習で講義分を進める(並行してスクーリングで演習を学習する)
- ・3~5回課題レポートを提出する
- ・修了試験を受ける
- ・初任者研修終了
初任者研修では自宅学習が終わってからスクーリングを行うのではなく、同時並行で進めるため注意しましょう。
スクールにより異なるものの、課題レポートでは指定され用語の解説や、複数のキーワードを使った文章の作成などを行います。とはいえ、字数は300~500文字程度のため、難しいものではありません。
また、初任者研修の最後には筆記試験を受ける必要があり、合格してはじめて、初任者研修修了となります。試験方法は選択式または、選択式と記述式双方で構成されます。
試験といっても理解度を計るもので、6~7割以上の問いに正解すれば合格となるため、難易度は決して高くありません。再試験や追試を行うスクールがほとんどなので、万が一落ちてしまっても、合格するまで挑戦することができます。
通信学習と通学学習の違いは?
通信学習でも通学学習(スクーリング)でも、講義で学ぶ科目や内容に違いはありません。しかし、同じ科目でも通信学習を利用したほうが、学習時間は短縮できます。
例えば、「学習できるカリキュラム項目と上限時間数」の章で紹介した表を一部抜粋すると、以下のとおり、通学では6時間必要な科目が通信学習では3時間で修了できます。
項目 | 講義・演習を合わせた総学習時間 | 通信学習で取得できる上限時間 |
---|---|---|
3. 介護の基本 | 6時間 | 3時間 |
そのため、初任者研修を全て通学学習とする場合、約22日間必要なものの、通信学習と通学学習を併用すれば約15日間の通学のみで修了可能です。7日程度、初任者研修の取得を早めることができます。
初任者研修は働きながらでも資格取得できる?
初任者研修は働きながらでも3~4カ月程度あれば取得できます。その場合、スクーリングは土日講座などを利用するのが一般的です。
講座は週1回、または週2回から選択できます。多くのスクールでは土日のどちらか1回、または、平日の同じ曜日と時間帯に毎週1回講座を開講するケースが多くなります。
スクーリングの日程や時間が事前に決まっているので、家事や仕事など、ライフスタイルに合わせて資格を取れる点がメリットです。
通信講座を使った資格取得で気を付けたい3つのポイント
初任者研修の講義部分で通信講座を利用すれば、自分の好きな時間に学習できる、全通学よりもスクーリング時間が短縮できるなどのメリットが生まれます。
しかし、演習の受講は必須のため、家や職場の近くに通いやすいスクールがあるか事前に確認が必要です。さらに、講義は自分だけで進める必要があるため、分からない点を確認できる体制が整っているかも確認しましょう。
1. スクーリングは通いやすいか?
通信講座のスクールを決めるときは、通いやすい場所にスクーリング場所があるか事前に確認しましょう。せっかく通信講座を初めても演習を受けられなければ初任者研修を修了できません。
また、人気のスクールでは、早々にスクーリング場所が埋まってしまうため、初任者研修の資格取得が必要であれば、早めに教室を確認しておきましょう。
2. 学習ペースは問題ないか?
通信講座では自分主体で学習を進めなければいけません。ある程度計画的に学習を進めないと、修了試験に通らない可能性もあります。そのため、講座を取る前に、平日・休日どちらで勉強するのか、一日どの程度学習時間が捻出できるかも合わせて確認しておきましょう。
また、久しぶりの勉強となれば、思ったように学習が進まないケースもあります。学習が進まなかったときのことも考えてページ配分をしておくとよいでしょう。スクールによっては学習場所を提供していることもあるため、上手に活用しましょう。
3. サポート体制はあるか?
通信講座は基本的にテキストと問題集を見ながら、一人で学習を進めていきます。とはいえ、分からないことは電話やメールなどで講師に確認できる仕組みがある方が、学習しやすくなります。スクールによっては解説動画を配信するなど、個人学習がしやすい環境を整えているため、確認してみましょう。
通信講座の費用はおおよそ5~8万円
初任者研修の通信講座の必要は地域やスクールによっても差があるものの、5~8万円台が相場です。低価格のスクールであれば3万円台での受講も可能です。全て通学のスクールではテキスト代込み5~7万円前後、通信と通学を併用したスクールでは7~9万円前後のコースが多くなります。
スクールによっては、キャンペーン価格の適用や、カリキュラム修了後に介護職で就職した場合にキャッシュバックを受けられることもあるため、確認し活用してみましょう。
費用以外に確認したいポイント
初任者研修スクールを選ぶときは、価格だけでなく、受講日数が豊富か、受講日の振り替えはできるか、どのような講師が在籍しているかも確認してみましょう。
初任者研修修了後にすぐに介護職として働きたいのであれば、就職に強いスクールの活用がおすすめです。スクールによっては、専属コーディネーターによる就職の個別サポートを受けられることもあります。
また、初任者研修には現場実習が含まれていないため、介護施設の雰囲気を知りたいなら、無料見学ができるスクールがおすすめです。福祉施設や在宅サービス提供現場、訪問介護事業所など複数の施設を見学し、先輩職員の声を聞ければ、実際に就職した際のイメージもしやすくなります。
以上のように、スクール選びでは、受講料だけでなく、学習の進めやすさや、就職時のことも安心して相談できるかも合わせて確認するのがおすすめです。
【まとめ】
初任者研修の取得は通信と通学の併用がおすすめ!
介護職員初任者研修を修了するためには、講義だけでなく、入浴や排泄の介助といった実技演習も必要です。そのため、通信講座だけで資格を取ることはできません。
しかし、スクーリングだけで資格取得を目指すよりも、通信講座を活用する方が、学習時間を短縮することができます。少しでも早く初任者研修を取得したいときは、通信講座とスクーリングを併用して資格所得を目指すとよいでしょう。
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